ロベスピエール


ニッポンの本屋さんで、平積みされていた中公新書の「物語 フランス革命」(安達正勝著)というのを、おもしろそうだったんで買ったんです。

で、一昨日ひろげてみたら、おもしろくて止められなくなり、昨日読了。

へえ、とか、ほお、とか、うわああ、などと思う、いろんな話が詰まっていましたが、そのうちひとつだけここに記すと・・・・。


フランス革命によって、それまで「あたりまえ」と思われていたいろんなことが変わっていくわけだけど、たとえば死刑の制度。

それまではものすごく残酷な拷問などが行われ、斬首というのは貴族に対して行われていた「高貴な」刑だったんだそうですが、この死刑についてみなおされたわけです。

(大体ルイ16世という人も、とても革新的な人で、この死刑制度を見直したがっていて、ギロチンを斜めの刃にしないといけない、といった人は彼)

革命初期に、国会で新しい死刑について話し合いが行われたとき、死刑廃止を提唱した人がひとりいたんですが、それがロベスピエールだったそうです。

彼の主張を引用すると、

「私は次の二点について証明したい。?死刑は本質的に正義に反する?死刑は犯罪抑止効果がいちばん高い刑罰でなく、犯罪を抑止するよりも犯罪を増大させる効果のほうがずっと大きい・・・。社会が断罪する被告人は、社会にとってせいぜいのところ、打ち負かされた無力な敵でしかない。被告人は、大人を前にした子供以上に、社会に対して弱い存在である。それゆえに、真実と正義の目には、社会が大がかりな装置を使って命じる死の光景は卑怯な殺人でしかないし、個人によってでなく、国民全体によって合法的な装いのもとに犯される重々しい犯罪でしかない」


「腐敗なき男」ロベスピエール、実際この目で姿を見て、この耳で話を聞いてみたかった・・・。


何年か前に、モンスの街の市庁舎で、革命直後のいろんな資料が展示されていたのを見たんですが、それまで学問をするチャンスのなかった子供たちが学校へ行き始めた、そういう資料があり、それらの文書の日付がフランスの革命暦で記されていて、その頃の人々の思いがぐっと迫ってくるような、すごい感動を覚えました。

いやあ、やはり、ニンゲンっておもしろいです。