選挙、エアバス、壁


日曜日に、欧州議会と、ベルギーの地方選が行われましたが、その選挙の結果は、エコロ(緑の党)の大躍進を示しました。
私の暮らすワロニア地方では、トップは社会党ですが、エコロの得票率は前回の2004年と比べて10パーセントアップ、2倍以上となりました。
5人にひとりはエコロに投票したことになります。
社会党35パーセント、MR(保守)25パーセント、エコロ20パーセント、CDH(キリスト教民主党)がそれに続きます。
極右のFNはドンと落っこちました。

ちなみに、ブリュッセル地区ではMRがトップ。
オランダ語圏の政党がフランス語圏のどれに相当するのか、よくわからないですが、ブリュッセルにしてもフラマンにしても、エコロが2倍になったのは間違いないのでした。

この日は午後から、友人宅に集まって一緒に食事をしたのだけど、そこにいた全員が「エコロに投票した」と言っていました。

今回初めて投票した長女もエコロ。
すでに18歳になっていて投票権のある次女のクラスメイトたちも、みんなエコロ。

以下がベルギー全体の選挙結果です。

http://elections.lesoir.be/elections-2009/static/index.html

ちっちゃいちっちゃい国ベルギーは、小さいくせに、見てください、4つの政府からなる連邦制です。
ベルギー人ですらよくわかっていないややこしさ。
(ブリュッセル首都圏、ワロニア、フラマン、ドイツ語圏)
この仕組みのせいで、かなりムダも多いだろうと思うんだけど、住んでみての感想を言うなら、中央集権国家より気楽だし、なかなかよろしいですよ。

極右の動きで、フラマンとワロニアが別の国家を作る→自分たちだけでやっていく力はないんでワロニアはフランスに組み込まれる、なんていう意見があるけれど、冗談じゃない、私たちはフランスのような中央集権の仕組みに取り込まれるなんてごめんだわ、と思っています。


選挙前日に公開された、ヤン・アルトゥス-ベルトランが作った映画HOMEの影響も大きいでしょうね。
ものすごくうまい選挙戦略だったと思うし、若い人々にとっては、イデオロギーよりも環境問題の方がリアルだということかも。



欧州議会の方は、ほとんど話題にもならないくらいみんな「どうでもいいわ」という感じなんですよ。
ほんとにどうでもいいんだろうか・・・。
ベルギーは義務なのでみんな投票に行きますが、フランスでは投票率わずか40パーセント、最近EUに加盟した国々では、もっと少なかったらしい。

エコロはCDHと組んで、社会党とMRに対抗していくようです。

http://www.lesoir.be/dossiers/elections_2009/article_711306.shtml



リオを出発したまま、ついにロワッシに到着しなかったエールフランスエアバスですが、少しずついろんなことがはっきりしてきました。

http://tempsreel.nouvelobs.com/actualites/international/20090610.OBS9976/41_corps_de_laf447_trouves_a_ce_jour_air_france_change_.html

速度計に弱点があることは、もう2年位前から指摘されていたのに、きちんとした対応がなされていなかったということのようです。
今からその部分がすべて取り替えられるそうですが、こんなひどい事故が起きるのを待たないといけなかったのでしょうか?
遺族の人はたまらないでしょうね・・・。

私が今回ニッポンへの往復に使うのは、往きがKLM、帰りがエールフランスで、アントワープからスキポールまでTGV、帰りもロワッシからブリュッセルまでTGVです。

飛行機に比べてCО2放出量が少なく、命に関わる事故のリスクも少ないと、心配性のクマがホッとしていました。
往きも帰りもボーイング777です。


昨日船便で岩波の図書5月号が届きました。
今回の表紙は、1555年に出版されたピエール・ブロン「鳥類博物誌」。
解説によると、このブロンという人、1553年に「ギリシャ、トルコ、ユダヤ、エジプト、アラビアなどの異国で見いだされた、珍奇にして記憶にとどめるべき事柄の数々の観察記録」という旅行記を出していて、そのうちパレスチナを訪れたときの記述は、
「ガザロ(=ガザ地区)には壁がない」で始まるそうです。

「類縁性」という発想で、異教徒達が各地で、相互の価値を尊重して共生している現実を、静かに報告しているそうです。