私の尊敬する友人が編集した本が、24日(大きな本屋では21日かも)本屋に並ぶそうです。
小林光恵著『死化粧の時−−エンゼルメイクを知っていますか』
洋泉社、1400円+税。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4862484425/ref=pe_2102_15133432_snp_dp
著者の小林光恵さんという方と一緒に、心をこめて作り上げた本だということが、彼女が紹介してくれた、編集しながら心に残った一つのお話からも、ひしと伝わってきます。。
従来、病院では患者さんが亡くなったときはご家族にいったん病室を出てもらい ナースが着替え、体の清め拭き、お化粧などを行っており、今でも多くの病院がそのようにしていまるそうですが、そこにご家族も付き添ってもらい、家族の意向を確かめながら、またご家族自身の手でそれをやってもらうのが、「エンゼルメイク」なのだそうです。
以下、友人が記した文章の引用です。
ある病院でエンゼルメイクを導入して間もないころ
まだ20代の若い娘さんが亡くなりました。
お母さんは茫然としていらっしゃいましたが、
担当ナースのすすめで病室に残り、
ナースのやることを見守っていました。そうして、胸の上で両手を組ませてあげる段になったとき
お母さんはにわかに、「どっちだったかしら」とおっしゃいました。手を組むには個人個人の癖があります。
右手を上にするか、左手を上にするか。
「娘の癖と違っていたら、気持ち悪いだろうと思ってね」
そうお母さんは言われたそうです。ナースはとても驚きました。
「今までも私は、心をこめて最後のお支度を担当してきました。
でも、手を組むときに左右どっちが上かなんて
考えたこともありませんでした。
いえ、考えたとしても
亡くなられているのだからわかるはずがないと思ったでしょう。
でも、ご家族の気持ちってこういうものなのですね。
今まで私がやってきたことは何だったんだ、と頭を殴られたようなショックを受けました」お母さんは猛烈なスピードで記憶をたどり
娘さんの癖がどっちだったか思いだそうとしているようでした。
娘さんの顔をのぞきこみ、手を組み替え、
また顔を見つめ……。
その時間はしばらく続きました。
ナースはそれを静かに見守りながら、他の仕事をしたそうです。
思えばそれは、お母さんと娘さんの
最後の対話の時間だったかもしれない、
とナースは語っています。
読みながら、母が亡くなったときのことを思い出してしまいました。
そういえば、姪が口紅を引いてあげたっけなあ・・・。
ニッポンの姉が、さっそく買い求めることになっています。
彼女がまず読んで、そして送ってくれるでしょう。
もしよかったら、みなさんも書店で、手にとっていただければ・・・、と思います。