モシモシ


美術学校の焼き物のクラスに、私を見るたびに「モシモシ」と声をかけては手を振ってくれる女性がいました。
今も週に2回うちに来てくれるキネのグレゴリーの、やっぱりマッサージの患者さんのひとり。
9年位前に乳がんが見つかって手術、入院中に読んだ雑誌で、ニッポン語では電話に出るとき「モシモシ」ということを知り、それ以来彼女は友達の電話に出るときには「モシモシ」と言うようになったのだけど、私がニッポン人だというんで、アトリエで会うたびに「モシモシ」と声を掛けてくれていたと言うわけ。
それで、彼女の名前はマリー=フランソワーズというんだけど、グレゴリーと私の間ではモシモシ。

12月は、ひどい天気だったのと、クマが旅に出る準備と、私自身の旅で、ほとんど学校に行かないままクリスマス休暇に突入、そのヴァカンスも終わり、今週からまたすべてがスタートしたのだけど、一昨日マッサージに来てくれたグレゴリーの最初の言葉が、
「モシモシが亡くなった」

去年の11月頃から体調がすぐれないとは知っていたけれど、まさか亡くなるとは思ってもいなかったんで驚きました。
まだ65歳にもなっていなかったらしい。
癌が体のあらゆるところに広がっていたのだそうです。

あっけないものですね、人の命。

昨日、久しぶりに行った焼き物のクラスでは、モシモシだけでなく、ジャン=ピエールという男性も、ヴァカンス中に癌で亡くなったと聞きました。

モシモシは一人暮らし、一人娘は分裂病で精神科で療養中、娘の病気が現れ始めた時点で、夫は家を出てしまい、ひとりで子供の世話も何でもひきうけていたと、そういうことも彼女が亡くなってから、グレゴリーが初めて聞かせてくれました。
いつもニコニコと明るくて、そんなタイヘンな目に遭っていたとは、全然想像もしていませんでしたが・・・。

いろんなたいへんなことから、解放されたといえるのかな?

明日がミサと埋葬だそうです。