松沢哲郎著「想像するちから」は、とてもいい本だと思う。
なんといっても、著者のチンパンジーたちへの愛が、ひしと感じられるところがいい。
この本のことは、ヴィデオニュースドットコムで知り、日本からやってくる友人に買ってきてもらったのです。
http://www.videonews.com/on-demand/591600/002528.php
人間とは何かを知りたく哲学科に進んだ松沢氏、そのために本を読むだけの研究はできないと心理学を専攻、京大の霊長類研究所へとつながっていき、チンパンジーたちと出会ったという話で、氏の話はたいへん興味深かった。
本はとても読みやすく、おお、なるほど、と感心しながら読み進めたのだけど、いくつかメモしたことから箇条書きにすると・・・、
・1万8千年前、インドネシアのフローレス島に、身長1メートルくらいのホモ・フロレシエンヌという人類がいたのだそうだ。
これを読んで、ホビット族を思い出したり、放射線廃棄物を10万年かけて隔離するということの異常さを思ったり。
・日本語の「こころ」というのはキリスト教文化の中で使われる「愛」と似てるんじゃないかしら。
・21世紀はゲノム的人間観の時代!!!!これはおもしろーーーい。
・利他性の向こうにある互恵性、自己犠牲は人間特有。また、人間の知性の本質は、他者のこころの理解にある、といったこと。
・「行為の文法」という発想。これもむちゃくちゃおもしろい。
・言葉を持つことで認識がシャープになる、ということ。また、言語の本質が携帯可能性にあるということ。
などなど。
この本の印税は、アフリカのボッソウとニンバというふたつのチンパンジーの生息地を隔てるサバンナに植林して、これをつなげるという「緑の回廊」というプロジェクトに全額寄付されるそう。
さらに寄付をしたいと思えば、ゆうちょ銀行の振替口座00830-1-55432「緑の回廊」に振り込むという方法があるそうなので、年末日本へ行ってときに少しながら送金しようか、と思う。
(そう、この年末・年始は日本で迎えることにし、もう航空券をゲットしてしまった。むふふ。)
今日は友人と、アフリカからの移民の人たちが多く住むマトンゲ地区のインド料理屋でランチ、そのあと、やはりそこから遠くないところにあるすごく感じのいいカフェでコーヒーをいただき、友人と別れてから、マトンゲ地区の例の映画館で、今年のカンヌ映画祭でパームドールを取ったHaneke監督のAmourを観てきたのだった。
主役のジャン=ルイ・トラティニャンは、とても好きな俳優のひとりだし、観たいなあと思っていて、映画館の前を通ると、ちょうど上映するところだったので、迷わず入館。
おもーいテーマの1本でありました・・・。
前作の「白いリボン」はとても怖い映画だったけど、今回のにはそういった怖さはなかったけどね。
でも、それとは種類の違う怖さはあった、身につまされる、というか、なんというか・・・。
老いというのは、いつの時代にもかわりなく存在したはずなのに、こういう映画が作られることがあまりなかったんじゃないかしら。
私が知らないだけで、他にもあったのかもしれないけれど。