イギリスのEU離脱


イギリスの国民投票で、「EU離脱」という結果が出たことは、日本でも大きな話題になっているようですね。

今こちらの時間は、6月26日10時22分ですが、こちらの新聞に20分ほど前にアップされたニュースによると、英国民のほとんど300万人が、もう1回国民投票を、という呼びかけに署名しています。
昨日の昼には100万、夜には200万と増え続けた署名数、もっと増えるのでしょうね。
離脱の大声を上げていた極右政党UKIPのNigel Farageが、結果が出た後に、EUに支払う負担金を国内の社会保障に全部充てるようなことを言ってたのがウソだったことを認めたのも関係しているのかな。

結果が出た後のインタビューで、若い女の子が、離脱という結果に、「私は生まれて初めて英国人であることを恥だと感じました」と答えていたのが印象的でした。

キャメロンは、政権欲しさに「国民投票する」という餌をぶら下げたわけですが、本人は離脱はよくないと思っていたわけで、こういう結果になるとは想像できていなかったんでしょうね。
金曜日には、そういう賭けに出たことを揶揄する新聞記事が出ていました。

http://www.francetvinfo.fr/monde/europe/la-grande-bretagne-et-l-ue/comment-david-cameron-s-est-tire-une-balle-dans-le-pied-avec-le-referendum-sur-le-brexit_1515687.html


イギリス在住の日本人の女性の記事が、普通のメディアではあまり見かけない普通の人の声かと思われ、友人がFBに貼りつけていました。

これ。

「地べたから見た英EU離脱:昨日とは違うワーキングクラスの街の風景」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20160625-00059237/

英国側から見た、とても良い記事だと思います。
ただ大陸に暮らす私は、この記事を読んで、英国では「EUの失敗」という言葉が連呼されていたんだな、と想像してしまいました。

そして、いつも私がフランスに関することを知りたいとき一番参考にする竹下節子さんの記事を、今回も早速参照。

イギリスのEU離脱ジャンヌ・ダルクシラノ・ド・ベルジュラック
http://spinou.exblog.jp/25732821/
イギリスのEU離脱をフランスから見る その1
http://spinou.exblog.jp/25735217/
イギリスのEU離脱をフランスから見る その2
http://spinou.exblog.jp/25736016/

さらに続くようなので楽しみです。

話はそれますが、ジャンヌ・ダルクといえば、ゲントの聖バーフ大聖堂にあるヴァン・アイク兄弟による素晴らしいっていう言葉ではとても十分に言い表せないくらい素晴らしい祭壇画「神秘の仔羊」が完成したのが1432年、これってジャンヌ・ダルクが火刑に処せられた翌年らしい。
この絵を仕上げたヤン・ヴァン・アイクは、ブルージュを拠点としたブルゴーニュ公爵善良公フィリップの宮廷画家、善良公フィリップは自身の父親をフランス王に殺されたのでフランスは敵、百年戦争には英国側についている。
18世紀、パリに次ぐ大都市となるゲントは、中立を守ったわけで、その後どんどん衰退へ向かっていくブルージュと対照的です。


さて、国民投票の結果が出てから、英国人でアイルランド国籍を申請する人が急増したそうです。
先祖にアイルランド人がいる人はアイルランド国籍を取得できるそうで、役所は対応するのに臨時に職員を増やしたそうです。

私の住んでいるブリュッセルのイクセル区は、ブリュッセルの中でも特に外国人が多く住んでいるのですが、在ブリュッセルのイギリス人の最も多くが住む地区でもあるそうで、ここでもベルギー国籍取得の申請がどっと増えたとニュースで言っていました。

実は私は、もうずいぶん前からベルギー人です。
日本は先進国としては珍しく重国籍を認めないので、その時点で日本人ではなくなっています。
驚くほどたくさんの方たちが読んでくださった、ブリュッセルのテロ事件に関する記事にコメントを書いてくださったkazuさんという方が、私に「外国かぶれ」とおっしゃいましたが、私にとっては外国じゃないので。(笑)
(こういう言葉は死語だと思っていましたが、まだ使われるんですね。)

ま、でも、「外国」である日本の批判をするのはいい加減にしましょ、と思ってはいます。

国籍でばベルギー人とはいっても、完全にここで生まれ育ちここの環境が当たり前なベルギー人とは違うし、とはいえ、もう日本人でもないし、これもずいぶん前に竹下さんが書いておられた表現を借りれば、完全に「ミュータント」化しています。
そして、私の友人たちは、その出身がどこであれ、ほとんどみんながミュータントです。


さて、英国国民投票の結果を受け、さっそくEUのモトを創設した6か国の外相が集まり、ベルリンで話し合いが持たれました。
直接的に言うならば、経済的にも政治的にもタイヘンな変化をもたらすから、なるべくさっさと離婚の手続きやっちゃいたいわ、というのがEU側のイギリスへの要求。
いっぽう、メルケルさんは、そんなに急がなくていいから、とEUとは異なる声明を出しました。

とにかく、興味深くて目が離せない状況ですね。

ということで、ここらへんで…。

追記・ 竹下さんの記事、その3がアップされたのでアドレスを貼りつけます。

http://spinou.exblog.jp/25737983/