最近のこと、いろいろ

もう1月も後半に入りましたが、皆さま、あけましておめでとうございます。

 

冬至を過ぎて、少しずつ日も長くなり、お日さまの位置も、少しずつ高くなっています。

暗くて何もしたくない、という状態から、一日に何か一つくらいはやろう、という気分になってきました。

めでたい。(笑)

 

ということで、ブログ更新。

 

年末・年始は仕事でした。

多くの人が休んでいるときは忙しい、逆に、多くの人が忙しくしているときはヒマ、という仕事をしている私です。

同じ仕事をしている者たちで、年が明けたら集まって新年会を、というアイディアが出て、幹事をやって、と頼まれました。

私ってイニシアティヴをとる能力が全くなく、結局、ほかに二人いた幹事さんに全部お任せ状態でありましたが…。

みんなで集まって宴会、なんて、思えば大学時代のコンパ以来でありました。

メンバーは皆フリーランスで仕事をしているんで、こうやって集まるのは初めてでありました。

 

王立美術館に、アントーン・ヴァン・ダイクによる、フランソワ・デュケノワの肖像画があります。

 

 

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フランソワ・デュケノワ

 

この肖像画の人は、有名なブリュッセルの小便小僧

(日本の観光ガイドブックでは、世界3大がっかり、なんて言われているようですが、ブリュッセルではものすごく大切にされているブロンズです。)

を作ったジェローム・デュケノワの二人の息子のうちのお兄さん。

ずっと以前に、もうすでに引退されている仕事の先輩から甥っ子だと教えられ、調べもせずに信じ込んでいて、今まで息子とは知らないでいました。お恥ずかしい。

宴会で仲間から指摘され、およよ、という感じで調べてみると、とても興味深いことがいろいろ出てきました。

フランソワも、弟のジェローム・デュケノワ2世も、父親同様に彫刻家です。

兄はイタリアで活躍、イタリアで亡くなっています。

バチカンの聖アンデレ像なども制作しているので、かなり認められた人だったのでしょう。

25歳でスポンサーに死なれ、自分で生活の糧を稼がないといけなかったそうですが、上述のような大作より、小さな作品を多く作ったそうで、それもお金を稼ぐ必要があったからなのかな?

弟は、ゲントの聖バーフ大聖堂にある、とても見事なトリースト司教の墓なども作ってます。

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Wikiを読むと、この墓の制作中に、8歳と11歳の男の子への性行為によって有罪判決を受け、完成後死刑になってます。

遺体は燃やされたそうです。

しかも、フランソワの死は、兄の才能に嫉妬した彼が毒殺したという疑いもあるとか。

いやはや、調べてみると、いろんなドラマがあり、興味は尽きません。

 

 

先月は何回か聴講を申し込みながらも、当日になってめんどくさくなり、さぼって行かなかった王立アカデミーの講義ですが、今年に入って2回、シンポジウムを聴きに行きました。

何回か触れていますが、王立アカデミーの公開講義は、申し込みさえすれば、誰でも無料で聴講できます。

 

1回目のシンポジウムは、17世紀、スペイン領ネーデルランド(現在のベルギー)とフランスの間のアートにおける交流について、というテーマで、王立美術館で行われました。

スペインとフランスの間は継承戦争の真っ最中、そんな中でも、アートに関してはいろんな行き来があったわけで、そういうお話。

当時はネーデルランドの絵画がパリではとても売れていたそうで、アントワープの画商たちが盛んに活動していたらしい。

でもこういう現実は、書かれたものの中では、ローマの流れをくむ正当なものではないということで、けっこう無視されてきたとのこと。

 

ルーベンスや前述の小便小僧ファミリィの時代は30年戦争の真っ最中。

当時大人気だったルーベンスは、よその国の宮廷に出入りすることができるという理由で、スパイのような活動もしたらしい。

たいへんな時代だったはずなのに、作品を見る限り、感じるのは当時の豊かさばかり。

そのあたりも、ちゃんと勉強したら、きっとものすごくおもしろいことだろうなあ…。

 

二つ目のシンポジウムは、EUにおける移民問題についてでした。

会場はいつも通りブリュッセルのアカデミー宮でしたが、このときはオランダ語圏のアカデミーと合同のもので、会場では仏・蘭語の同時通訳がつき、聴講に来た人全員に、翻訳を聞くためのヘッドセットが用意されていました。

ちなみにランチも用意されていました。

コーヒーやジュース、スープ、いろんな種類のサンドイッチにデザートまで。

いやしんぼの私はめちゃ嬉しかったです。(笑)

 

王立アカデミーとして、まず最初に、反ポピュリズム・反ナショナリズムを謳うことでスタート。
移民の人たちの、国家に与える経済的影響なども、ちゃんと数値で示していました。
各国の人口推移をグラフで見ると、それぞれの国が全く違う様相を見せているのも興味深かったです。
 
正直に言うと、話を全部集中して聞いているわけでなく、時々ふーっと他のことに脳みそがそれると、言葉のハンディもあって、ちゃんとわかってないのであります。
それでもいくつか心に残る言葉がありました。
 
移民問題イデオロギーの問題にすりかえることなく、きちんと現実をみつめないといけない。現実問題としてとても複雑な要因があるから、それを単純化してはいけない。
2015年、シリアの難民問題が起こった時、もっときちんと対処しておけば、今ずいぶん異なる状況であっただろうが、これからでも遅くない。難民に対するホスピタリティというのは、難民の人の権利である。難民問題は外からやってくる問題ではなく、ホスト国の問題でもある。などなど。
 
特に印象に残ったのが、家族ごと迎えることの重要性。
家族全員を受け入れる方が、社会によりなじみやすい、と。
それと、どんなに凶悪なテロリストであったとしても、人としての権利が保護される、と。
そして、移民としてやってくる人の能力を、最大限発揮させてあげることが大切だ、と…。
 
 
17世紀アートに関するシンポのランチタイム、美術館のレストランでたまたま隣に座ったご婦人もやはりシンポを聴きに来ていて、いろんな話をしたんですが、彼女は「すべての分裂を生むのが宗教だ」と、宗教に批判的。
私は宗教自体が悪だとは全然思わず、その宗教を道具として分裂を起こさせることが悪だと思うので、そう言ったんですが、全く聞き入れてもらえなかった…。
 
その数日後に、ボタニックで今行われている、エルネスト・ピニョン・エルネストの展覧会を観に行きました。

www.botanique.be

一昨年ニースでも観ましたが、今度はブリュッセルでやってるんで、喜んで行ってきた次第。

ストリートアートの人なので、ほんとは展覧会で観るってのは、ちょっと違ってるかもしれないんだけど。

そして、しみじみ、宗教的だなあ、と感じたのです。

このアーティストは、分裂を生んでいる現在の状況に抗議している人だから、やはり、決して宗教自体が、社会の分裂を生んでいるのではない、と、強く思ってしまった。

 

 

忘れないよう、今年に入ってからのことを記しておこうと書き始めたけど、ずいぶん長くなってしまった。

 

 

そこで、若者たちの記事をふたつ書き留めておしまいにします。

 

その①

1月10日木曜日、オランダ語圏の高校生が、気候問題に対するデモをブリュッセルで行いました。

平日なんで、授業はさぼって、です。

毎週木曜日に行うということでしたが、翌週、つまり今週の木曜日には、フランス語圏の高校生も集まり、さらに大規模なものとなりました。

www.rtbf.be

授業さぼって大丈夫?とのインタビューに、将来のために学校で授業を受けなさいと言われるけど、それならまず未来を壊さないで、との回答。

もっともです。

参加した高校生は、皆一人一人ちゃんと校長先生と話したうえでやってきてるとのことでした。

 

 

その②

 うちの長女くん、もう3年か4年前から、友人と二人で、女性の生理についてフィルムを取っていて、ドキュメンタリー映画を作るつもりだったみたいなんだけど、結局ブログという形で公開することに決め、去年の夏にスタートさせました。

その時点でFBではリンク貼ったりもしたんだけど、このブログでもリンク貼っておこうかな、と思ったので。

coolmenstruation.wordpress.com

ちょうど時を同じくして、日本でも同じテーマで映画が公開されたりもしているようで、同時進行であちこちで、というのが面白いことだと感じました。

ちなみに長女くん、去年の6月、軍の救急車だったというでっかい車をキャンピングカーに改造、ボーイフレンドと旅に出ました。

東欧をまわった後イタリアへ、年末からギリシャにいるようです。

私もいろんなことしてきましたが、もうこの年になると、まず快適さを求めてしまい、とてもそんな旅行をする気にはなりません。

だから、若いうちに何でも経験してね。