昨日は、よいお天気のときは歩きましょ、と思い、でも目的なく歩くってのができない私、「王立図書館のミュージアムへ行く」という理由を作りでかけてきました。
ウィークエンドはミュージアムに行く人も平日より多いのでいつもは避けるんですが、こんないいお天気だと(しかもずっと天気が良くない日が続いていたので)、ミュージアムより屋外へ、ってことになるに違いない、と思ったわけです。
ネットで予約状況をしらべると、案の定ガラガラスカスカ状態。
これはめでたいと「予約者ゼロ」の時間帯を選んで予約を入れ、徒歩で行ってきました。
王立図書館の写本コレクションは、世界で3番目の質と量を誇っています。
もともとは15世紀のブルゴーニュ公善良公フィリップのコレクション。
600年の歴史があります。
善良公フィリップ、豪胆公シャルル、ハプスブルグのマキシミリアンと結婚したシャルルの娘のマリーさんの時代、900冊ほど所有していたそうですが、時代とともに失われ、現存しているのは300冊ほどだそうです。
当時の写本の価値を考えたら、ほんとに考えられないくらいの力を持っていたのね、ということを思い知らされます。
写本を所有することは、経済力、知性と教養、趣味の良さ、そういったことを象徴していたのです。
これはタピストリーも同様で、カルロス5世なんて100枚以上所有していたそうですが、これも経済力・教養などの象徴、たとえば彼は、ライバルであるフランス王フランソワ1世を訪ねるときは、何メートルもあるタピストリーをクルクルと丸めてお土産として持参、ほら見てよ、私の力と知性、って感じだったらしいです。
このブルゴーニュ公爵のコレクションをベースにしたミュージアムができ、こうやって公開され始めたのは去年です。
コロナ禍突入で、ミュージアム側も、楽しみにしていた私の方も、なんだかんだと調子が狂い、ようやく訪ねる時がやってきた、という感じで、個人的にはとてもめでたい。
それまでは、年に一度のオープンドアの時や、特別な展覧会の時にしか拝めなかったコレクション、観たいときに観られることになったわけですから。
ミュージアムパスが使えるので、入場は無料。
(このパス、コロナでひどい目に遭ってるだろうとと思い、時期も来ないのに応援しようと更新を何回かしたので、私のは2023年まで有効です)
タダで入館するんで、せめてショップで買い物を…、と考えていました。
オリジナルマスクがあるのを知っていたので、それを買おうか、と思って出かけたんですが、なんと、まあまあ気に入ったのが35ユーロもする。
手作りで一つ一つ異なる刺繍がしてあるし、それだけの値打ちはあるかもしれないけど、さすがにマスクにそれだけ投資する気にはなれず、コレクションのうちの1冊についての解説本を買ってきました。
それと、屋上にあるカフェ!(笑)天気がいいのでテラスがオープン(6月9日までは、まだテラスでしか営業できない)してましたから、鑑賞後に、えびコロッケとビールをいただいちゃいました。
ミュージアムはガラガラでしたが、カフェには人がいっぱいいました。
ミュージアムのサイトです。
善良公フィリップ。
ジャンヌダルクの時代の人です。
そういえば、昨日5月30日はジャンヌダルクの命日。
フランス王に父親を殺された善良公フィリップにとって、フランス王は敵ですから、彼女から見たらフィリップは敵ですね。
もともと宮殿のあった場所の一部、今でも図書館には1300年代に作られたナソー家のチャペルが残っています。
そのチャペルには、以前はなかった聖ヴィルジフォルトの磔刑像がありました。
おおおっ、と思ったのでフォトを撮らずにはいられなかった。
以前友人とプラハに行ったとき、プラハ城からそれほど遠くないところにあった、たしか聖ロレッタ教会だったと思うけど、そこで磔刑像を観て友人ともども衝撃を受けた髭の聖女です。
Wikiっても、日本語記事はありませんでした。
この聖女、以前にボッシュが描いたものをこのブログで紹介しました。
ボッシュ展を観たこと、その他いろいろ - ちびころおばさん備忘録 (hatenablog.com)
ミュージアムで観た写本のうち、おもしろいなあ、と思ったものをいくつか。
人魚みたいだけど、半身女性、半身孔雀、というファンタジー。
1330年の世界地図。
そして、なにげに残酷だけど興味深く思ったのがこれ。
カメラマンの腕が悪すぎて、何が何やらわかりませんね。泣
プルデンティウスという4世紀の詩人による、キリスト教でいうところの7つの徳と悪の対比、その文章が書かれた9世紀の写本です。
ミュージアムの入り口で、1時間半から2時間かかるよ、と係りの人に言われましたが、2時間じゃとても足りない内容でした。
また訪ねよう、と思ったことでした。
さて、今日も良いお天気です。
また歩こうと思いますが、今日はまたつまずきの石のお参りをするつもりです。
前回メヘレン発の20番目の列車の襲撃について触れましたが、歩いて行ける距離に、この列車に乗っていたファミリーの石があることを発見したので。
お父さんはその時逃走、お母さんと娘はアウシュヴィッツに連行されますがそこで生きのびた、という3人家族の石です。
そういえば、石参りを始めてその都度解説を読むようになったことで、処刑されたレジスタントの人たちの墓地が、その処刑が行われた場所にあることを知りましたが、昨日のニュースでたまたまそこの話が紹介されました。
この墓地がナショナル墓地となったそうで、昨日セレモニーが行われた、というニュースでした。
コロナ関係のニュースでは、ICUの患者数が450を切りました。
Rtが0.82。
いつも思うんだけど、ニッポンの数値って「感染者数」ばかりじゃないですか?
これってあまり意味ない気がするのだけど。
ただでさえ検査数が少ないって批判されているところで、感染者数の増減って…。