うちのオヤジの生命力


ただいま!

ニッポンから、このヴァーチャル空間に帰ってきましたです。

ニッポンのみなさん、会いに行けずに残念でした。
とくに、九州在の身内や諫早周辺の友人のみなさん、会えなかったどころか、電話の1本もしないまま帰国しちゃって、ごめんね。
来年また行きます、そのときはゆっくりまた会いましょう。

ようやく少し余裕ができたので、うちのオヤジのことや往復の道中のことといった、今回のニッポン行きを、備忘&ご報告ということで、自分なりにまとめてみたいと思います。

まず今日は、今回のニッポンへの旅の理由である、うちのオヤジについて。




父はまだ生きています。

肝臓、胆嚢などがいっさい機能しない状態で、体全体まっ黄色。
認知症というのでグループホームというところに入所しているのですが、ひと月ほど前からそのような状態になり、症状を見極めようと病院に入院させたところ、点滴の管は引きちぎるわ、バーコードは食いちぎるわ、その様子の報告を聞くだけのお気楽身分のわたしなど、悪いけどつい笑っちゃうくらいのパニックぶりだったそうで、けっきょくまたグループホームに戻ったのでした。

ホームに戻ると、家族のもとにいるのも同じなので落ち着いたそうで、そういうことなら、むやみに本人を不安に落とすより、医療施設ではない介護の施設であるそのホームで、毎日足を運んでくれる兄夫婦やスタッフに世話をしてもらいながら、静かに最後を迎えてもらおうと、そういう方針にみんなで決めたわけです。

8月の中旬、医者の見立てでは「早くて1週間、ひと月もつということはないでしょう」とのことでした。
医療施設で点滴などの処置を行い少しでも生きる時間を増やすなら、傷みといった苦痛も大きくなるであろうと。

わたし達がニッポンに着いたときが、「あと1週間・・・」と言われてからすでに10日後でした。
話に聞いていたとおりまっ黄色の父は、ときどきふうっと意識が遠のく様子ではありましたが、ちゃんとわたし達のことがわかりましたし、寝たきりとは言え、自分でモソモソ体のポジションを変えることもできれば、ちょっと手伝えばベッドの上に座ることもできるという状態でした。

食べるものといえば小さじに1杯程度のジェリーやプリンみたいなもの、飲むのもほんの少しのお茶やイオン水だけ、そういう状態が続きながら、まだ彼は生きています。

わたしと子供たちは、私の姉も一緒に、ニッポンにいる間は毎日父のそばに行きました。
そういう状態の父のまわりで、わたし達は、おいしいおいしいとお弁当を食べたり、バカ話で大笑いしたり、そうやって過ごしたのです。

「あっちの世界」と「こっちの世界」を往ったり来たりしている様子の父も、こっちにいる間は微笑んだりお話をしたりと、わたし達と一緒にいることを喜んでいました。

当然ながら体力は日に日に落ちていく様子でありましたが、最後に訪ねた30日も、バイバイと手を振ってわたし達を見送ってくれました。

ほとんどバケモノなみの体力・生命力を持つ父とはいえ、これが今生での最期のバイバイとなるでしょう。
正直言ってむちゃくちゃ寂しいですが、おかげでちゃんと挨拶もすることができ、ものすごくホッとしました。
ありがたいことだと、心からそう思います。

そういう感謝の思いと、加えて父のあの「生きる力」を見たことで、なんというか、力がムクムク湧いてきたというか、エネルギー・アップした私です。

元気な頃はちょっと変わった人間性で私たち家族を困らせた父、今年で83になるんですが、聞かされたり見たりしたことから私なりに想像したり感じたりした彼の人生全体を思うと、それもやっぱり「ダメ人間」だったとはいえ人ひとり分、私たちに命をつなげてくれてありがとう、という気持ちになります。


今回ニッポンに出かけてよかったなあ、と、心から思っています。