壁の中

カンヌ映画祭でパーム・ドールを受賞した作品は、「壁の中」(英語タイトルは「クラス」だそうです)、学校を舞台にしたこの作品、パリの20区にあるコレージュの、普通の子供たちが出演する作品というんで、21年ぶりにフランス映画が最高賞を受賞したということもあり、ニュースで盛んに取り上げられています。

その学校は興奮状態、これって快挙でしょうし、この子供たちがこれから生きていくときに、大きな自信ともなるんでしょうね。
10月15日から公開されるようです。

http://www.euronews.net/index.php?page=cinema&article=489548&lng=2#



クラスと言えば、「いじめ」現象なんかを思い出しますが、これって別にニッポンだけの話じゃなくて万国共通のこと、しばらく前から、3女クンがすっかりその標的になってます。

3女くんのクラスに、ブランシュという名の女の子がいて、この子はお父さんが非常に保守的なジャーナリスト、お母さんが堅い大学の教授、お勉強以外は何もさせてもらえず、テレビではニュースと王家に関するドキュメンタリーを家族一緒に観るのが義務、というような極端な環境で、性格もおとなしく従順だし、そこからはみ出るようなこともないので、要するに「変わった子」として、クラスでけっこういじめられるらしいんです。

その子が、誰も休み時間に一緒に過ごす友達がいないというんで、3女達仲良しグループに近づいてきたのが今年度の始め。

ところが3女クンのクラスメートの女の子たちはそれを受け入れようとしない、露骨に無視したり、ブランシュの目の前で彼女の真似をしてはバカ笑いをしたり。
3女はそれをかばったので、どうもその頃すでに「仲間はずれ」が少しずつ始まったようなんですね。

しばらく前にここで記した「宗教の時間のけんか」

http://d.hatena.ne.jp/shohoji/20080508/1210230558

もそう。

3女は、石頭だし理屈っぽいので、同級生にとっては「うっとおしい」タイプであるとこは想像に難くなく、もともとあまり好かれないというのはあるでしょう。

彼女は露骨に不快な態度を取られたら、男の子達のところや、他のクラスの子達のところに行くそうなんですが、するとそれはそれで気にいらないらしく、意地悪に拍車がかかるんだそうです。

「けっ、いやな連中」と思って、そういう意味では意地悪されてもヘイキではあるけど、やはり無視されたりという不快感には心を深く傷つけられるよ、というので、その思いを手紙に書いて渡せば?と、文章にすることを勧めてみました。

(映画「パラノイド・パーク」なんか思い出したりして・・・。)

文章にしようとすると、ただ漠然としていた不愉快なシチュエーションが分析・整理・理解されて、すっきりするだろうと思ったのです。
何が起こっていて、何が不快で、何は平気か、自分の嫌われる特徴とは何か、反省すべきか、彼女らは何を感じているか、などなど。

案の定、手紙は大体完成したけれど、今更渡す必要も感じなくなったらしく、「ああ、すっきりした、もういいや」と。
何故ひとをいじめたくなるのか、あの人たちはそういうことを自分に問うこともないんだろうなあ・・・、と言ってました。

振り返ってみると、上の二人はそういうトラブルは一切なかったんですね。
もちろんうちの3人娘も性格それぞれ、3女の性格も関係しているのではあろうけれど、これって学校自体の性格の違いも関わっている気がします。

上ふたりは昔の女子校がもとになった学校で、3女が通う昔の男子校であるイエズス会のコレージュほど、エリーティズムが強くないのです。

人を貶める、というのは、自分が優位にたっていないと不安、ということなのでしょう。

コレージュは3年生になってからの学業が、長女と次女が通っていた学校と比較にならない厳しさなんですが、同級生たちの「不安度」がものすごく増えたということかもしれないなあ、などと、おばさんは思っています。