チンパンジーの話

いつも楽しみにしているヴィデオニュ−スドットコムのマル激トークオンデマンド、今日新しくアップされているのを、仕事から帰って視聴。
期待していたとおりものすごくおもしろくて、コーフン状態、これは3女に話したい、と思ったので、今電話したけど、残念ながら留守電だったので、メッセージだけ残しておいた。
とにかく、いつものように備忘のため日記として残しておこうと思います。

ゲストは、霊長類研究所の松沢哲郎氏。

http://www.videonews.com/on-demand/591600/002528.php

この方、もともと「人間」に関心があって、哲学科にすすんだものの、知りたいことは本に記された活字をよむことではないと心理学を専攻され、そして霊長類研究所の研究者へと縁あって至り、チンパンジーの研究をされてきたということで、そのお話は本当に刺激的なもの。

「意味」を求めて苦しむ3女クンも、私が「哲学を専攻すれば?」というと、「本を読む、とか、そういうことをしたいのではない」と言っていたし、そして彼女の苦手な「とりあえず」とも通じており、これは絶対教えてあげないと・・・、と思った次第。

DNAを読むと、ヒトとチンパージーでは99パーセントくらい同じであるにもかかわらず、実際はものすごく異なっているわけで、生物学的な違いよりも、人間の本質は、人間が人間の外側に、ずっと蓄積してきたものであり、それはいったい何であるか、チンパンジーを研究することによって人間が見えてくるということなのだけど、話を聞きながらの自分のメモを見ると、

・子育ての違い
チンパンジーの子供はずっと母親にしがみついているけど、人間の赤ん坊は仰向けに寝かされる。
仰向けに寝かされ両手が自由になることによって、生後まもない赤ん坊は手によって外界へ働きかけを行うようになる。
チンパンジーの母親は、人間と違って、承認する(褒める・うなずく・みとめる・みまもるなど)をしない。
人間はある価値観を背景に、子供の行動を制御する。

・人がコップにジュースを注ぐ様子の映像を見せると、チンパンジーはジュースしか見ないけれど、人間の子供であれば、すでに1歳の幼児が、注ぐヒトの視線・顔などに注視し、「相手」を見ていて、こういう「自己・他者・モノ」という三項把握は、チンパンジーには存在しない。
チンパンジーにとっては、目の前にある「モノ」の世界がすべて。

・脳みその大きさ(人間はチンパンジーの約3倍)とは関係なく、たとえば、瞬時に外界の全体を認識する能力は、人間よりチンパンジーの方がよほど優れている。
しかし、人間のように、目の前にあるモノの背景や意味へと向かうことはない。

・人間の特徴は、社会的な暮らし、パートナーシップ、分業・協力・言葉(=単に抽象的な概念を象徴する記号的なものでなく、経験といったインフォメーションの【運搬】を可能にしているものとして)・時間の概念などにより、不在のものを想像する。


こうやって書きながら、貼り付けたアドレスの番組紹介を見ると、ちゃんとまとめてあるし、何も私がグダグダ記す必要もないよな、とは思うものの、自分がメモした、ということは、自分自身が「おっ」と感じたということなんで、一応記しちゃう。

「今を生きるチンパンジー」には絶望もない、「今を生きる」というのが、私がいつも3女に身につけて欲しいと思う「とりあえず」、でもそれは何も考えないからじゃなくて、いろんな経験を通じて到着することのできる境地でもあるわけで、なんというか、番組を見て、すごく気持ちがよかった。

なんだか支離滅裂ではあるけれど、ま、コーフン状態だから、これでいいとしよう。

ヴィデオニュースドットコム、ひと月500円と有料だけれども、週に1回、1冊の本を読んだときとおなじくらい「おもしろーい」と感動するんで、ほんと、安いもんです。