âgisme エイジズム & 松葉づえオバサン

金曜日には大学で、フランス語とその文法の歴史の講義の第1回目を聴講してきました。

続けてオンラインで行われる比較芸術史の講義は、大学にそのまま残り、どこかに陣取って聴こうとタブレットもゲットしてあります。

(S penがオマケで付いていたので、お絵かきなんかして遊んだりしました。)

でもNetIDがまだもらえないので、この日の2回目の講義も聴けずじまい。残念。
自由大学が何でもモタモタするのは有名な話なんだった…。
うちは長女・次女が自由大学で、そういえば事務的なことが仏語でいうところの「ボルデリック」だったことを、ああそうだったなあ、と思い出したことでした。

(ボルデルというのは、フランス語で売春宿のことなんですが、話し言葉で、ものすごく散らかっていたりモノゴトがきちんとしていないときに、ボルデル、と罵ったり、ボルデリックだ、と言ったりします。)
3女はルーヴァン大学だったんだけど、なんでも普通に素早くて、その経験がなかったら、「ベルギーの大学ってモタモタするもんだ」と思い込んでいたかも。

3回続けて同じような経験をすると、「そんなもんだ」と決めつけちゃったりしますもんね。

それにしても早くNetIDを出して欲しい。
オンラインの講義が聞けないだけでなく、シラバスも見られないし、図書館を使う手続きもできない。

学生たちの中にもまだNetIDがもらえない子たちもいるようなので、私みたいなケースより、まずそっち優先というのはわかるのだが…。

 

この日の講義ですが、すでに3つも4つも知らなかったことを学びました。

1回目ということで、2時間の講義のうちの4分の3は、いかに進めていくか、試験はどういうかたちになるか、といった説明に使われたのですが、残り4分の1はホントの授業、先生が仏語を愛していて、そのパッションを伝えたい、という思いがばっちり伝わってくるもので、よい講義になるな、と感じさせられました。

私みたいな年寄りが、私の他に3人はいましたよ。なんだか嬉しかった。

 

で、講義の後、まっすぐ帰ればいいものを、トイレに行っておくか、と、カフェなどが集まっている建物のトイレに行ったんです。
うちまではトラムに乗れば30分以内で着ける距離だし、特に寄らなくともよかったんですけどね。
で、その建物に入るには石の階段が数段ある。
入るときは雨は降ってなかったのに、出るときは雨が降り出していて、そこを降りるとき、なんと、最後のステップで滑ってしまって転んだんです。泣

しかも単に転んだんじゃなく、膝をひねっちゃった!!!

もう動けない痛み、ひょえ―――という感じで座り込んだまま立ち上がることもできない。

親切な人が2人、速攻で助けてくれて、キャンパスにあるメディカルセンターに電話してすぐ見てもらえるようにしてくれたうえに、そこまで連れて行ってくれて、帰宅のためのタクシーに乗り込むまでずっと支え手伝ってくれました。

感謝、感謝、本当にありがたく言葉もない。

骨に異常はないけどオルトぺディスト(日本だと整形外科?)には見てもらった方がいいと、そこの医者がとてもよいと紹介してくれたところに予約が取れたので、明日行きます。

その日の午後、次女がフリーだったんで、これも速攻で、薬の調達、食料の調達その他、いろいろと助けてくれ、ま、なんということはないのだけど、あまりのアホさに、自己嫌悪。

初日だというのに…。しくしく…。

 

しかし、トイレに寄らなかったらきっともっと大きな事故に遭ったのを、これだけで済ませてくれた神さまに感謝しよう、と思ってます。
(それ以外に何ができよう・・・)

 

歳のせいかと思ったのだが、次女が、これは歳は関係ない、誰にでも起きうる、と励ましてくれました...。

 

 その石の階段の最後のステップは、濡れると滑りやすいと有名らしく、そのとき助けてくれた人もそう言ってたし、長女もそこで滑って転んだことがあるそうです。

おい、大学、危ないだろ、どうにかしろよ!!!!← 逆恨み?

 

たまたま前日、掃除・洗濯・美容院での月1回のカット、全部済ませていたんで、これはラッキーだったかもしれない。

あれをしないと、これをしないと、といったプレッシャーはゼロ。

 

翌日はもっと痛いと思うよ、と次女が言ってたので覚悟していたんですが、朝起きたら少し痛みも減り、松葉づえ扱いも上達(笑)。

昼には長女も次女も、食べ物をいっぱい持ってきてくれたんで、これから数日間は食料問題もなし。

動かず食べるのみ、これはこれでちょっとキョーフですが…。

夕方は3女もレオくんと見舞いに来てくれましたし、やたら賑やかな1日でした。

 

金・土曜日の2日は、そんなこんなで嵐のように去っていったのでした。苦笑

 

 

前に記したアノン邸に関する資料など、うちにあるのを準備して、次に更新するときはそのあたりをアップしようと思っていたけど、それはまた次に延ばし、今日は動けないことを言い訳に、毎日やるぞと決めていたフランス語の勉強をさぼって視聴したドキュメンタリーの話などを記しておきます。

 

クリックしても日本では視聴できないと思うけど、これ ↓ 。

「なんで年寄りは嫌われるの?」というâgisme(エイジズム=年齢差別)についてのドキュメンタリー。

2019年制作で、リポーターはフランスの歌手で90歳になるマルセル・アモン。

www.rtbf.beエイジズムなんてあまり話題に上りませんが、レイシズムやセクシズム同様、偏見による差別を表す言葉です。

「年寄りは○○だ」という偏見について、マルセル・アモンがいろいろ取材をしていきます。

高齢者は交通事故を起こしやすい、というのも、統計的にみると全くウソ。

そういえば女性ドライバーはヘタクソで事故を起こす、なんてのも科学的根拠ゼロですもんね。

取材の中では、これから1年半以内にスイスで死ぬことを決めているという、75歳の女性も登場します。

彼女は、人生を四季に喩えたとき冬を生きたくない、私のraison d'être(レゾンデートル=存在理由)は女性としての性的な充実感、生きる喜びは秋まで、そう断言して、そういう価値観の人間に死を選ぶことを許してもらう法律を作るための運動家でもある。

リエージュ大学の社会学者の話がおもしろかった。

多くの人がイメージしているより、高齢者の生きていることにおける肯定感は非常に高く、孤独感・抑うつ感などの数値はとても低いのだそうです。

こういうアンケートの結果では、幼いころから18歳ころまで、人生の肯定感が高く、その後だんだん低下し、最低値になるのが30~40歳頃、その後はまた上昇、高齢者の幸福感はかなり高いのだ、とのこと。

もちろん老化による身体機能の喪失などは避けられないが、それとは別に、心理的な面の話です。

なぜなら「今そのとき」を楽しもうという思いが強いから、だと。

(ああ、それ、わかるわかる、と私 笑)

若い人はネガティヴな事象にとても過敏に反応するけど、高齢者はそれがない、とも。

これは科学的実験の結果です。

扁桃は常に活動している脳の感情をつかさどる部分とつながっているもの、その活動を調べるとそれがわかるのだそうです。

歳を取ることを「いろいろなものを失うこと」と捉えることが多いが、実は「いろいろなことに順応すること」と表現している人もいました。

 

私も、還暦過ぎてからは特に、自分のこととしてけっこういろいろ考えているので、おもしろいドキュメンタリーでありました。

やはりお勉強するのは脳神経を活性化するんでボケ防止になるようです!

高齢者がホームに入ることがあたりまえで、年金生活になったら働くことなく自由に暮らすのもあたりまえ、というこちらの文化なので、もしかしたら背景が日本とはずいぶん異なるかも…ですが。

加えて、政治の話でなく、「個人の幸福」の話で、年寄りだらけのどこかの政府を支持するドキュメンタリーではもちろんないです。

 

 

政府と言えば、ベルギーの連邦政府、総選挙から1年4か月過ぎ、ようやくできそうです。

この10月1日、宣誓が行われる運びとなりました。

連邦議会はディスタンスが保てないので、EU議会がその会場として使われるそうです。

結局フランダースの第一政党であるNVA抜きでの連立政権、そうなると第一政党は仏語圏の社会党になるんで、首相はPSのポール・マニェットかな。

 

 

いつもみたいに、いくつかリンクを貼っておこう。

 

まず、おもしろい記事だったので、ここにアップしておこうと思っていたのに前回貼り忘れた記事。

gendai.ismedia.jp

 

コヨーテとアナグマがコラボするというの、初めて知った。

https://twit

 

 

もう数年前に亡くなった、ベルデ岬カーボベルデの裸足で歌うセザリア・エボラ。

大好きなんだけど、中でも最も美しいと思うソダードという曲があります。

歌詞は理解できてなかったんだけど、その歌の歴史的背景をこれで初めて知りました。

また近いうちに訳しますね。

ter.com/epinesis/status/1308189866044219393?s=20

今日のところは貼り付けるのみ。

www.rfi.fr

曲をYoutubeで見つけてきたので貼り付けます。

 

www.youtube.com

 

そして、恐ろしくかつ可笑しいarteのビデオ。

小学校の先生が、クラスの男の子の母親に罵られプッツンになる、という短い動画。

ドイツ語でオランダ語でフランス語の字幕がついています。

これをFBに上げたら、長女の昔のボーイフレンドくんが反応。

彼のパートナーが翻訳を仕事にしていて、この字幕は彼女がつけたものだそうな。

なんだか嬉しくなっちゃった。

www.facebook.com

 

ジュリエット・グレコが亡くなりましたね…。

 

www.youtube.com

 

 追記 今お昼のニュースを聞いているんだけど、やはりフランダースの第1党を抜きにしたことで、フランダースブラームスブラング(極右政党)が騒いでいます。

どうなるかな…。