ここ数日のこと+近日中の予定+さらに電気代値上げされたこと などいろいろ

4月も今日で終わりです。

 

日が長くて天気のいい日が多く、花々や木々の緑がとても美しい、外へ出ると爽やかな風が吹き、思わず≪美しき5月のパリ≫をハミングしたりしてしまう、少なくとも季節だけは、これからしばらく1年の中で最高であります。

 

備忘のためのメモ。

 

水曜日、大学の美術史概論の講義の最終日。

 

5月中旬くらいまでには大学のすべての講義が終了し、学生たちは皆それぞれ勉強のために籠ります。

私は試験は受けてはいけないので、ただの休みに突入。

何もしない日々の罪悪感を少しごまかしてくれていた「早起きして講義聴きます」が失われてしまった…。

 

今後は、気候のよい季節には無料文化イヴェントが数多く企画されるだろうから、そういうイヴェントに足を運ぶことで上述の罪悪感を軽減させる作戦へとシフトするのである。

 

先週から講義は20世紀に突入、今週は21世紀に及びました。

このあたり、もともと興味のあるところなので、初耳だ!みたいなことはなかったけど、おもしろいな、と思ったのは、

「人(アーティスト)がモノに向かう時、そのあり方にはふたつあり、ひとつはそこに意味を求めるあり方で、もうひとつはそれで遊ぶ・楽しむあり方です」

という話。

1980年頃になると多くのアーティストが後者のあり方に変化し、それ以前の作品とは異なる特にメッセージ性のないものが現れ、彼らはそれで楽しみ鑑賞する者たちもそれで楽しむ…。

「意味を求めることの意味」(!)っての、かなり昔から私の個人的関心事でもあるので、ピピッと私のちっちゃい脳みそのアンテナに感じるものがあったのである。

 

講義の後、ちょっとした用事を済ませるために旧市街へ。

その時のグランプラス。

 

 

木曜日、美容院。

 

今回も3月末に出産したいつもの彼女はおらず(5月に入ったら土曜日だけは出てくるとのこと)、アルバニア人の彼女でした。

アルバニアのこと何も知らなかったから、前回来た後調べたのよ、シュチパリアって言うのね、なんて話からアルバニアの話で盛り上がりました。

 

仕事を見つけることが、コネがなかったらお金をこっそり渡さない限りものすごく難しい社会であること、アルバニアでは自分の美容サロンを持っていたけどあまり利益がないのでイタリアに働きに出たこと、でもベルギーに移ってきてもっと暮らしやすくなったこと、実家はミカン園をやっていること、妹さんが身障者で(話を聞く限りポリオの後遺症だと思われる)障害者手当は月に100ユーロしかないこと、10歳と5歳の子供がいて、やはりアルバニア人であるパートナー氏は小さい頃からいつも一緒にいた幼なじみであること、などなど、すっかり家庭の事情まで知ってしまった私である。笑

彼女もムスリムだそうだけどヒジャーブはしておらず、母国では宗教の違う者同士の結婚も全く自由、過激なムスリムはいない、と言ってました。

首都から実家まで車で30分ほど、この夏も家族で帰省するから、その時期にぜひアルバニアに旅行に来て、うちは観光地である中世の城跡も近いから案内するから、と言われてしまった。

ありがたいことです。気持ち的に身近な国がまた増えちゃった。

ベルギーみたいに暖房設備が整ってないから冬は寒い、夏はいろんな野菜も豊富だし、旅をするなら絶対夏!だそうです。

 

家族のフォトやビデオ、近くにあるという城址スマホでいろいろ見せてくれたけど、どの城址だったか思い出せない…。

そばに湖があったのは確か。

ちょいと調べたらすぐわかるかと思いきや、いっぱいあってわからないのである。

ちゃんと名前も聞いたんだけどなあ…。記憶力だけは自慢だったのになあ…。

en.wikipedia.org

 

 

 

昨日金曜日、これからガンガン参加する予定の私の無料文化イヴェント第1回目です。

市庁舎のゴチックの間で開催された、アメリー・ノートンと、毎年開かれるLa foire du livreという本市イヴェントのトップを2020年から務めているマリー・ノーブルという人の「対話」というコンフェランスを聴きに行ってきました。

 

誰でも参加できるけど人数制限があるから早めに申し込んで、というメールをもらったので、速攻で申し込んでいたものです。

 

マリー・ノーブルという人に関して全く知らなかったので、あらかじめネットで検索したところ、イヴェントのトップに任命されたときのインタビューの動画を見つけました。

「何か1冊の本に生まれ変われるとしたら、どの1冊?」という質問に、ハルキ・ムラカミの 海辺のカフカ と答えていました。

質問自体がおもしろい。

私だったら何と答えるかな?と考え中。

 

アメリー・ノートン、私にはとてもエキセントリックな作家、というイメージがありました。

ずっと前に図書館で借りて彼女の小説は2冊読みましたが、なにせストーリーを追うことはできてもそのフランス語を味わうことができないからでしょう、その良さはまったくわからずじまい。泣

でもTVの仕事で、彼女のご両親とは会って話す機会があり、彼女のお母さんがものすごくかわいい方で、へええ、と思ったこともあり、ちょっと興味があったんです。

 

彼女は毎年1冊のペースで本を出しています。

その30冊目である Premier sang に関わる話が中心でした。

本としては30冊目、出版は年に1冊のペースだけど、彼女自身は出版を目的とせずにもっと書いており、この作品はちょうど100番目になるそうです。

2021年のルノド賞を受賞しています。

 

彼女のファミリーは、代々外交官を務めていたり作家であったりで、ベルギーの名家です。

お父さんであるパトリック・ノートン氏も有名人。

日本でも領事や大使を務めており、能といった日本文化の愛好者で、確か能に関する本も出している。

この方、2020年3月、ヨーロッパのあちこちでパンデミー対策の規制が始まった最初の頃、Covidで亡くなりました。

アメリー・ノートンはその時パリにいて、規制ゆえに葬儀にも出られなかった。

ちゃんとしたお別れができなかったために、父親にはいったん復活してもらって別れを告げる必要があった、というんで書いた作品です。

 

3人兄弟の末っ子の彼女は、唯一父親ソックリの外見だったために、人が集まるところでは「この子がパトリックよ」と紹介されていたそうで(笑)、この本も父親になりきって書いたそうです。

 

1964年、コンゴで白人たちが≪シンバ≫という革命軍の人質として捕らえられ、その危機が何か月も続いた時、まだ20代の若き外交官だった彼は、自身も人質の一人であり交渉にあたった、その話も小説の中で重要なエピソードのようです。

 

可愛い話だなあ、と思ったのは、彼女の両親の出会いのエピソード。

 

当時ナミュールの学校に通っていた17歳のパトリックの親友アンリが恋に落ちる。

相手はフランソワーズという気品の高い美しい近寄りがたい女性です。

アンリは彼女に手紙を送りたいけど書くことに自信がないのでパトリックに代筆を頼んだ。

パトリックがアンリに成り代わって書いた手紙にはちゃんと返事が届く。

喜ぶアンリ。

でも彼女に出会うと、相変わらずとても近寄りがたいまま。

そういう状態で数か月文通は続くのだけど、ちっとも状況は変わらない。

どうなってるんだ、もう頭がおかしくなりそうだ、というんで、アンリは今度は彼女の家に行って彼女の真意を聞いてほしい、とパトリックに頼むわけです。

パトリックが彼女の家を訪ねると、出てきたのはフランソワーズの妹である16歳のダニエルです。

で、パトリックがアンリに成り代わって送っていた手紙の返事を書いていたのは、フランソワーズに成り代わっていたダニエルだったことがわかった。

このダニエルさんがアメリーのお母さん、というわけです。

 

ノートン家は皆本が大好き、タイヘンな読書家ばかりです。

彼女も小さい頃からタイヘンな読書家、本は読めば読むほど、偉大な作家の作品に多く触れるわけだから、自分が書けるわけがない、という気持ちになる。

そういう思いから「ある詩人の手紙」という作品が解放してくれた、と言ってました。

(この作品も作者も、私は全然知らないので、ちょいと調べるつもり)

作品を書かせるのは、才能ではなくデジールでありパッションである、と強調していました。

 

 

今回のコンフェランスは、Cultur’elleと名付けられ今後展開されるイヴェントの第1回目です。

カルチャーとELLE(彼女)を組み合わせた造語で、その名の通り女性の文化人を毎回呼んで開催するそうです。

企画したのは以前もこのブログで触れた、まだ30代のブリュッセルの文化担当助役ウバさんで、今回のコンフェランスも彼女の挨拶でスタートしました。

 

コンフェランス後はアメリー・ノートンの著作販売(ギャレリーロワイヤルサンチュベールにある本屋トロピズムによるもの)とサイン会、私は本は買わないと決めていたので、ふるまわれた泡を一杯いただいて帰宅しました。

 

あと、アラッと思ったのは、日本語でもノートンと記されると思うし、私もそう発音するNotombですが、ご本人はしっかり最後のbを発音されていたこと。

ま、だいたいbが続く前につくmですから、ンとはいえど日本語の「ン」とは違って、上下の唇をちゃんとくっつけて発音しないといけないんだなあ、と思ったことでした。

 

コンフェランスが開かれたゴチックの間。

ここ ↓ では始まる前なので隙間がありますが、満員でした。

 

チビな私は目の前に人が来ると何も見えないので、一番前に着席したのである。

 

ブリュッセルを守ってくれる大天使ミカエル。

市民の行政上の結婚式は必ずここで、市長あるいは市長代理の前で証人二人を立て誓いの言葉を言うことで初めて認められます。

婚姻届けを出すだけ、というのとは異なります。

 

 

 

こういう無料文化イヴェント参加の近日中の予定は、修復されたばかりのサン・ジャック地区にある旧小麦市場広場の建物を訪ねること、その次が、王立アカデミーの講演のうちエルネスト・ソルヴェに関するものを聴きに行くこと、であります。

 

さらに王立図書館で始まったこのエクスポジション ↓ を見に行くこと。

これは長女クンの仲よしの音楽学者で、図書館の音楽部門で研究者をやってるウーゴくんがすべて準備したものです。

ニュースで取り上げられた時も、彼がインタビューに熱を込めて答えていました。

知ってる若者たちが頑張っているのを見ると、オバサンはほんとに嬉しくなる。

 

王立美術館で始まったコブラのメンバーだったクリスチアン・ドートルモンのエクスポジションも絶対見に行くつもり。

 

Covid状況ですが、いろんな規制が緩む中で状況はどんどんよくなっている。

季節の関係もありますよね。

そういうわけで、3月までずっともらっていた連邦政府の援助金もオシマイ、延長されません。

最初の頃1300ユーロ足らずだったのが少しずつ増え、最後は1400ユーロ足らずでした。

あとはもう1回、ブリュッセル首都圏政府の援助金が出そうですが、これをフィナーレにCovid対策の援助金として私がもらってきたものはホントに終わりを告げそうです。

 

数日前に、電気代の毎月の暫定額請求書の額がさらに増える旨のメールが届きました。

これについては、9月まで消費税が21%が6%に下げられるものの、ほぼ3倍に値上げです。

あと、1回だけ、各家庭に100ユーロの光熱費援助ってのがあります。

それにしても、いやはや、まいったまいった、って感じ。

 

私は金銭に関しては、どうにかなるさとあまり心配しないでパッパラパなところがあるんだけど、さすがに今後はそういうわけにもいかないでしょうから、自分がどんな風にお金を使っているのか知るために、とりあえず5月に入ったら家計簿つけてみよう、と思ってます。

生まれて初めて、です。苦笑

 

 

 

ウクライナですが、国連のグテレスが訪問してる最中にキエフを爆撃したり、NATOに近づくなら攻撃するぞとスウェーデンを脅したり…、なんてニュースで言ってます。

怖いです。ホントに怖い。

 

 

 

今日は講演で聴いた内容を忘れないようにメモしたので、やたら長くなっちゃいました。

他にもいろいろ思ったことがあったけど、疲れたのでオシマイにする。

 

 

最後に、スタントマンなど使わないアクターのナナフシくんが可愛らしかったので貼っておこう。

https://twitter.com/tyomateee/status/1519685599359541248?s=20&t=IhhVBGKGsF1dHVpdDNh_SQ