リエージュに行ってきた

リエージュビル・ヴィオラ展を観に行ってきたので、メモしておこう。

 

でもその前にテロ事件のその後。

先週の月曜日の事件の4日後である金曜日に、法相が責任を取って辞職しました。

たしか2011年だったと思うけど、犯人、その過激思想などで難民申請が却下され母国へ送還ということなったのに、ずっと放ったらかしになってた。

それ自体だけなら、送還先の国の同意を得るなど面倒な手続きがいろいろあるうえに、ものすごくコストがかかるそうなんだけど、実はこの犯人の場合、2022年、返還先であるチュニジアが、本国で裁くためにベルギーに対して返還要求を提出していたのに、これも放っていたことが判明してしまった。

法相が司法機関の不始末で辞職するのは珍しいことらしいけど、今回は速攻だった。

なんといっても二人亡くなってますからね。

辞職の会見では「弁解の余地なし」と本人が言ってました。

当然本来かかわるべきだったセクションのトップも、辞任か減給となるそうです。

 

予算不足で人員も不足しているというのは、司法界がもうずっと前から訴えていたこと。

そういえば、8年くらい前だと思うけど、王立アカデミーで司法に関わる弁護士や判事たちによるパネルディスカッションが行われたので聴きに行ったんですが、当時の法相も呼ばれていて、予算のことでガンガン批判されてました。

その時はその大臣が遅れてきたんで開始も少し遅れたんです。

私は「こうなることがわかってたんで足が重かったのかな?」なんて思っちゃいましたよ。

 

で、新しい法相が翌日発表されました。

司法畑の人で、国のセキュリティの専門家、2016年のテロ事件のとき、OCAM(=Organe de coordination pour l'analyse de la menace)のトップを務めた人。

就任会見では、「10年後には、10日後には、なんて言いません、今すぐ(改良を)始めます」と言ってました。

www.rtbf.be

でもこの人事に、北のフランダースでは政党内で不満が出てます。(オランダ語圏のOpen-vld=仏語圏のMR)

今の首相と同じ政党でも、選挙で選ばれた人ではないから、です。

首相の判断は正しいという意見と、選挙で選ばれた我々に対する敬意の不足だ、という意見に分裂している。

来年は選挙の年だし、特に北は極右勢力が強いんで、これからがたいへんでしょうね。

私は専門家が就任するのはいいことだと思うのだが…。

そういえば、フランスでシラクが大統領だった時首相を務めた、超エレガントなドゥヴィルパンも、選挙で選ばれた人ではなかったなあ…。

 

 

というわけでリエージュ

 

予定より早く駅に着いたので、最初乗ろうと思ってたより早いのに乗り込んでしまった。
でもこれ、停まるところがその次の列車より多くて、結局到着は次のより遅かったのである。
ワロニアの方に行く機会はフランダースに行く機会よりずっと少ないので、あまり慣れてないんですよねえ。
車両が新品で、新しい匂いがしましたよ。
 目的はビル・ヴィオラ展だけど、先に常設展を観ようと早めに出て来たので、全く問題はありませんでしたが。
 
ブリュッセル首都圏を出てしばらくの間はオランダ語圏を通っていきます。
フランス語圏に入って最初の停車駅で、スラっと背の高いBLマンガに出てきそうな美少年が乗り込んできました。
隣りの4人席に友人たちと座った美少年、チラチラと目の保養をしながら妄想でにやけていた腐女子ババァでありました。
許せ、少年…。
 
 
リエージュ駅の建築家は、有名なセバスチアン・カラトラバです。
真っ白だったのに、去年末だったか今年初めだったか、いろんな色をつけちゃったんですよねえ…。(今だけだとは思うが・・・)
私にはこの色、趣味がいいとは全く思えない。
白いときの方がよかった。


白いとき。
でもこのデザイン、いかにも南の国の人が作ったふきっさらしで、冬の乗り場は寒すぎるのである。

ちなみに、この駅に対抗したのか、モンス駅もこの建築家に依頼、2015年完成だったはずですが、まだ工事中。
 
出来上がっていないと言えば、リエージュのトラムもそう。
2年半遅れていて、まだ工事中。
批判の的なので、どんな風かしら・・・と思っていたのだけど、駅前がこんな感じ。
ああ、なるほどね・・・と思ったことでした。

この路(?笑)を過ぎて、ムーズ川を渡ると公園です。




目的の美術館。La Boverie

 
まず常設展を観て、カフェで軽くランチ、そうこうしているうちにヴィオラ展の予約時間になったので鑑賞。
 
ルーベンスより100年足らず前の人ですが、ルーベンスのようにマルチの人だったランベール・ロンバール。
リエージュ司教国の代表的画家・建築家・歴史家・考古学者etc.という大物知識人です。

wikiったらニッポン語の記事もあった。
でもこの記事には、フランドルの画家・学者と書いてある。
リエージュはフランドルじゃないんだけどね。
ま、私がガタガタいうことじゃないと思うけど…。
 

ja.wikipedia.org

 

ピカソ

何年か前にこの美術館で、この作品に関する特別展が開催されていた記憶あり。

私はやっぱりコブラのメンバーたちの作品が好きだわ。

ドートルモン

 

 

この美術館のカフェ、Madame Boverie でランチ。

リエージュ白ビールを初めて味わった。

 

ビル・ヴィオラ展、10年近く前にパリのグランパレの展覧会で知ったときには、もうこんなの初めて!!と感動、その後近辺でこの作家の作品が見られるときは必ず足を運んでいたのである。

今回は大掛かりな展覧会なので、あの感動をもう一度!と思ったのであるけれど、そこまで感動しなかった…。

なんで?

わからない…。

グランパレほどの規模ではなかったからかなあ…。

 

これは面白かった。

 

 

これも。

怖くておもしろかった。

スクリーンがグルグル回り、その裏側は鏡になっているんで鑑賞者が映る。

 

 

その他、メモいろいろ。

 

すごい人生だし、めちゃかっこいい。

活動家というわけではないけど、その生きざま自体がフェミニズム

www.rtbf.be

www.lecho.be

アールヌーヴォーやアールデコって、桁外れの大金持ちのためだけど、戦後のモデルニズムって、そういう在り方の大改革、なんだよねえ…とあらためて思う。

 

 

これを見ても、教えてもらわないとどこかわからないくらい変わってしまった。

ブリュッセル南駅。

 

バルセロナの図書館が世界一となったニュース。

意図して庶民の地区に建てられた、というのも素晴らしい。

elpais.com

 

ベルナール・ピヴォによるインタビュー。

興味深い。

"Avant tout, c'était ça oui, la jouissance, c'était très très fort... c'était pour toute la vie". En 1984, Marguerite Duras raconte avec émotion à Bernard Pivot son histoire d'amour avec "le Chinois" à travers son roman "L'Amant".

www.facebook.com

 

とても16世紀の作品とは思えない。

驚いた。

Inouï de voir que cette œuvre a été peinte entre 1510 et 1530. Elle a été attribuée à Pordenone car la robe ressemble à des œuvres italiennes datant d'environ 1515.
Quelle audace que la robe de la jeune femme qui révèle ses seins.
Le regard de biais, presque sournois derrière le rideau, suggère qu'il s'agit peut-être d'une courtisane qui attire les hommes à sa fenêtre.

イル・ポルドノーネの作品であろうと言われているそうだけど、ほんとにそうなのかな?

fr.wikipedia.org

 

これもすごい。

2000年よりもっと前の作品。

"Jeune coureur de la Villa des Papyrus à Herculanum."
Un regard de bronze de plus de 2000 ans !
Musée archéologique national de Naples.

 

というところで、おしまい。

 

自分用メモ追加。

fr.wikipedia.org

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