火曜日なのに混んでいた でも、とてもおもしろかった

昨日BOZARに、つい最近スタートしたベルギーのシュールレアリズム展 "Histoire de ne pas rire." を観に行ってきました。

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ウィークエンドはものすごく混むだろうと平日を選んだのに、かなり混んでいてビックリしてしまった…。

チケット売り場に人が並んでいたんです。

ミュージアムパスを持っている人でも、チケットをもらう必要あり。小さなミュージアムなら、入り口でパスを見せるだけで済むんだけど。)

エーッ、ウッソーと思い最後尾の人に「これってチケットのために並んでいるんですよね」と確認すると、「そうですよ」とのこと。

「混まないだろうと火曜日を選んだのに・・・」と言ったら、「僕たちもそうなのよ」とおっしゃってました。

たぶん、シュールレアリズム自体が人気あるんだと思います。

この様子だと、土・日・祭日は絶対避けた方がいいと確信。

仏語圏はカーニヴァルのヴァカンスに入りましたし、それも関係あるのかな。

蘭語圏のお休みは先週終了)

 

人が多かったので、ササッと見て出直そう、と思ったにもかかわらず、ものすごく面白くて、けっこうゆっくりしてしまいました。

考えてみたら、ヴィジュアルアートと文学の融合であるわけで、おもしろくないわけがないんですよね。

 

タイトルの Histoire de ne pas rire. (笑い事じゃない話、くらいの意味かな)というのは、マグリットたちとともにベルギーのシュールレアリズムのムーヴメントの中心人物のひとりであったポール・ヌジェ(生化学者、詩人)が発行した、このムーヴメントに関する本のタイトルです。

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去年の春、ベルギー研究会のブリュッセル大会の際に王立図書館で見せてもらった彼らの手稿なども展示してありました。

 

 

最初のセクションはインタナショナル。

マックス・エルンストは好き。

 

 

ダリ

 

エルンスト

 

アラゴンブルトン

 

 

ピンボケだけど、ま、このくらい混んでたということ。

 

そのあと、ベルギーのみのセクション。

近年のエクスポジション、フェミニズムの視点による考察なしではありえないですね。

ベルギーのムーヴメントでは、女性はこの二人のみ。

ラシェル・バースの作品は、私の好みではなかった…。

ジャヌ・グラヴロルは、マルセル・マリエンとの出会いでこのムーヴメントに入っていくことになったそうだけど、そのマリエン氏、私は全然知らなかったけど、その作品はかなりおもしろい。

私がベルギーで暮らし始めたころはまだご存命だったことを知り、自分の無知を恥じたことである。

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エノー州(モンスが州都)のラルヴィエールにもムーヴメントがあったってのも初めて知った。

おもしろい作品もいっぱいありましたよ。

ブリュッセルのアーティストたちとの交流の機会はあまりなかったらしい。

今の時代なら楽勝で交流できたでしょうにね。

中心になった人の一人がマルセル・ルフランという方で、その方によるフォト。

モンスのパルク、うちの子供たちが通った中等学校のそばなんです。

懐かしいこと。

 

レオン・ドゥグレルという大戦時の極右の人がいて、その人を描いてある。

彼が中心となったREX。ヒットラーには息子のようにかわいがられたそうな。

ベルギーがナチから解放された際、彼はスペイン(フランコの時代ですから)に亡命、天寿を全うしてます。

ja.wikipedia.org

 

これ ↓ l'introuvable (見つけられないもの)って作品(後ろの小さいのはピエタ)なんだけど、これを見てるとき後ろに小さい子をふたり連れた若いお父さんがいて、その会話がかわいくてかっこよかったです。

パパ「誰の眼鏡だ?」

子「・・・」

パパ「キュクロープスだよ、忘れちゃった? また今夜ギリシャ神話のお話しをしようね」

私の心の声(かわいい、かっこいい、いいなあ)笑

欧州のいろんなミュージアムを訪ねましたが、こういう様子をよくみかけます。

小さな子が親に連れられて来てるんですよねえ。

そして、子供たちはすごく可愛いしおりこうさん。

こうやってアートを身近なものとして成長していくんでしょうねえ。

 

 

6月までやってるし、また行こうっと。

王立図書館+BOZARでもアンソール展、王立美術館ではIMAGINEというシュールレアリズム展、この3つ、タイアップしてる。

今年でブルトンマニフェストからちょうど100年だから。

 

前回も書いたけど、フランスのムーヴメントとは距離を置いているベルギーのアーティストたちです。

これってきっと根本的「態度」の差だと私は思います。

フランスのアーティストたち(特にブルトン 笑)は、フランス人であるという誇りが高く(ときどき高すぎ 笑)、よく言えば使命感にあふれていて、悪く言えば傲慢。

ベルギーってそういう傲慢さのない国であり、ベルギー人って特にそういう使命感に燃える人たちじゃないと私は思ってます。

価値観・美意識の似た仲間うちで完結してるのかもしれない。

そういう意味では「排他的」なのかもしれないけど、へんなナショナリズムのヘンな排他性とは全然違う。

例えば、ジム・ジャームッシュの映画作品などに私が感じるものに似ている気がする。

(もちろんその時代に関わらないではいられないから、上に貼り付けたREX批判のポスターみたいな作品もある)

そして、私にはそういうところが好ましく思えるんですよねえ。

 

などと考えたのでした。

 

さて、例によってSNS上で見かけたものなど。

 

 

トリュフォーゴダール

めちゃ若い。

ベルギーで暮らし始めた最初の頃、TVでこの頃のトリュフォーたちを描いた映画を観たんです。

もうキュンキュンしてしまう作品だった。

何というタイトルだったのか全く覚えていないのです。残念。

また観たいんだけど。

 

げえええっと思ったニュース。

ジョン・レノンが受けた弾丸がオークションにかけられるそうな…。

www.rtbf.be

 

大好きなパコ・デ・ルシア

亡くなって10年も経つんだ・・・と驚いた。

亡くなるほんの少し前に、BOZARにコンサートを聴きにいったのよねえ…。

www.radiofrance.fr

 

GALLICAでブルトンマニフェストの手稿が見れるそうです。

gallica.bnf.fr

 

セイジ・オザワ

www.facebook.com

 

ということで、今日のメモおしまい。