「この世界の片隅に」を観たこと、東日本大震災の6年目を迎えたこと、ヨーロッパのこと


28日しかない2月は、飛ぶように去ってしまい、もう3月も中旬です。

今日は久々に、「しないといけないこと」にプッシュされることのない日曜日。
おまけに暖かい、青空の広がる良いお天気で、3月になると、冷たい凍えるような日があるかと思うと、こういう春の日もあります。日も長くなったし、嬉しいことです。
今月末には、サマータイムに突入。暗い冬もようやく終わりです。


ずっと楽しみにしていたアニメ「この世界の片隅に」を、先月末観てきました。
毎年カーニバルの頃、ブリュッセルのフラジェで行われるアニメフェスティバル「ANIMA」。
「君の名は」も「この世界の片隅で」も、絶対上映されるに違いない、と思っていたら、そのとおりでした。
上映の2週間ほど前にチケットをゲットしようとしたら、先に上映される「君の名は」はもうソールドアウト。
この世界の片隅に」の方は、ぎりぎりでゲットできました。よかった。

欧州では初公開ということで、プロデユーサーの方がいらっしゃっていて、上映前に少し話をされました。
上映後にはディベートもやります、とのことでしたが、なにせ上映開始が22時、とてもディベートまで残る気力がなく、残念ながらこれはパス。
後で参加した人の話を聞くと、ディベート後は、残った人たちみんなでビールを飲みに行ったそうな。
かえすがえすも残念なことだけど、夜中12時をまわっちゃうと、おばさんにはつらい。(笑)

原作のマンガも読んでいたので、お話の内容は知っていましたが、証言をもとにできうる限り忠実に描いたという映像も、期待していた通り、とても美しかった。

観客の反応も良かったと思います。笑い、涙を流し、終わった時には拍手が起こっていました。


昨日、3月11日は、東日本大震災からちょうど6年目でしたね。
私は仕事が入っていたので、何にも参加しませんでしたが、友人が鎌仲ひとみさんの映画の上映会を開いたし、いつもものすごく頑張っているデユッセルドルフの「さよなら原発デユッセルドルフ」の人たちは、デモをやりました。
また、今日から、彼らが主催する樋口健二さんの写真展も、デユッセルドルフでスタートです。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201703/CK2017031102000204.html

先月19日には、アーヘンで、おしどりマコさんの講演もやりました。
アーヘンは近いので、友人たちと聞きに行きました。
その時のことを、一緒に行った友人がその時の動画つきの記事にしていているので、貼り付けます。
皆さんにもぜひご覧いただきたいと思います。

http://www.speakupoverseas.net/learning-from-fukushima/


動画と言えば、フクシマ出身、モントリオール在住で、一昨年パートナー氏がサバティック・イヤーということで、家族4人で1年間ルーヴァンにいた知り合いが教えてくれたこの動画。

"Fukushima, A nuclear story" by Matteo Gagliardi (2016) is now on VIMEO for free screening till March 16, 2017.
https://vimeo.com/207604996

以下鑑賞サイトよりそのまま引用:

映画『福島原発の悲劇』(英語版原題 "Fukushima: A Nuclear Story")

この映画は、昨年3月11日にイタリアのSKYTG24テレビ放送で初公開され、その後、アメリカ、カナダ、ブラジルも含めて、世界16ヶ国で放映されました。が、日本では未だ正式公開されてはいません。全テレビ局おことわりしました。

しかしながら、これは、特に日本人の為に作られた映画なのです。日本の人々がこの映画を観れるように、その権利を守るために、今から1週間にかけて、無料配信致します。

是非御覧ください。

そして、宜しければ、是非コメントをお寄せください。

宜しくお願い致します。



ということで、私も今から観賞します。



さてさて、ローマ条約から今年で60年。いろんなところで反EUの動きがあり、危機を迎えているEUです。

もうあと数日で、オランダの選挙ですね。どういう結果になるでしょうか。

以前にもちょいと記したことのある、申し込みさえすれば、だれでも無料で聴講できるベルギー王立アカデミーの公開講義でも、「欧州は歴史上の転換期にあるのか」というテーマで、3回連続の講義が先週スタートしました。
第1回目は、「現在の危機と過去の危機」(歴史学的視点)というテーマで、歴史家のロナルド・サッスーン氏によるものでした。イギリス人ですが、カイロ生まれでフランスやイタリヤでも学んだという、多文化の方、フランス語も訛なし(笑)でした。
ヨーロッパのどこの国も、自国の歴史は学んでも、欧州全体の歴史を学ばず、隣国のことすらよく知らない、と話されていたのが印象的でした。

ブリュッセルに住んでいると、「EU」はとても身近だけど、よその国の人たちには全然身近じゃないんでしょうね。
EUももっと広報に力を入れないといけないのかな?
EU市民ひとりひとりが負担するおカネなんか、本当にわずかなんだけど、そういうことも誰も知らないんだもんねえ。
それに、最初にEUを作った人たちは皆年を取り、今のEUの人たち、エリートっぽすぎるのかもしれない。


今週のテーマが、「グローバリゼーションにおけるヨーロッパの位置」(経済学的視点)、来週が「地政学的変化と、そのEUへの影響」(地政学的視点)です。

うちの子供たちが学校で学ぶことを見てきた経験からいうと、ベルギーという国自体が若い国だからか、EU本部があるからか、あまり「自国のこと」ばかり教え込まれてきた印象はありません。
だいたい中央集権国家じゃないし、ナショナリズムもない国だから(10年くらい前に、当時の首相も国歌が歌えないことが判明。大笑いになったことがあるくらい。)。
少なくとも私には、小国のベルギーにとって、EUの中で、いろんな自由が保障されているのは、恩恵ではあっても、全然「損」な感じがしません。

これもいつも話題にする独・仏合同で作っているTV局arte、ここでちょうど、ローマ条約60周年ということで、10回シリーズで2500年に渡る欧州の歴史の番組をやってます。

http://www.arte.tv/sites/temps-forts/60-ans-traite-de-rome/


もうひとつ、昨日のニュースの、現在のアフリカの干ばつによる深刻な飢饉に関する話が印象的でした。
80年代の飢饉の際には大きな話題になり、ものすごく多くの人が助けようと寄付もしたのに、今はほとんど誰も心配しようとしない、これはいったいどうしてだろう、と。
インタビューに答えて、一人の人が、「難民問題などで、だれもよその心配をするどころじゃないのだろう」と言ってましたが、多くの人に心の余裕がなくなってきている、ということでしょうか。


と、今日はこの辺で。
今から上述のビデオを鑑賞します。