ベルギーで最初に本が印刷されて550年を記念して、王立図書館の所有する「ベルギーの最初の本」を、12月8日と9日の2日間だけ、それぞれ午前と午後に2回1時間ずつ、研究者の説明を聴きながら観ることができる、というイヴェントがありました。
先月末に図書館から案内のメールが来たので、速攻で8日14時のを申し込んでおきました。
図書館にある写本ミュージアムの中で行われるイヴェントなので、ミュージアムの入場料は払わないといけないんだけど、これはミュージアムパスがあればフリー。
ありがたい。ほんとにありがたい。拝みたいくらい。
申し込むときにちょっと気になったのが、ガイディングの言語を選ぶ設定じゃなかったこと。
普通こういうときは、仏語か蘭語か2つのうちどちらかを選ぶか、さらに英語を加えた3つのうち1つを選ぶかなのにヘンだな、と。
蘭語のみだったら何もわからないことになる。
で、当日、各回定員15名、私の回が始まるのを待ってるとき、周りで一緒に待ってる人たち、間違いなく全員蘭語話者だったんです。
ああ、不安が大当たり、きっと研究者の方の説明は蘭語でなされるんだ…、と理解した私。
その時点で周りの人たちに、「蘭語のみですかねえ、私は仏語しかわからないんだけど…」とがっつり不安アピール。何らかのお助けが得られるかもしれないので。笑
その本たちを眺めることができるだけでもすごいことだから、悔いなし、ではありますし。
先生は、アントワープ大学と蘭語の方のルーヴァン大学に属する方です。
この先生、母語は仏語だそうですが、完璧バイリンガル、↓ のようにスライドは全部仏語でした。
だからその時々に何について話されているか、それはわかるんだけど、これって見出しのみなんで、話されている中身は99%理解できませんでした。
質問は何語でも(仏・蘭・英・独)いいですと言われたんですが、中身が???なんだから質問など思いつくわけもありません。笑
このスライド ↓ を見て、ああ、活字の「活」って mobile の訳だったんだ!と、ものすごく当たり前のことに初めて気づいてしまった。
活字じゃないのは木版です。
解説が行われた部屋に、この2日間だけ展示された本は13冊、うち1冊 ↓ のイラスト部分が木版によるものでした。
これ、ページを1枚めくると、何も印刷されていない、さらに1枚めくると印刷されている、と交互になってる。
木版部分は何色も使うために水性インクを使い、文字の活字部分は油性インクを使う、水性インクは裏側に染みるので、裏側には何も印刷されなかった。
それで、次のページの何も印刷されていない裏側とくっつけて、2枚重ねになっていたのだそうです。
接着剤が長い年月ではがれてしまっているんで、上述のように「裏は何も印刷されてません、水性インクは染みてるでしょ」と分かる。
(説明されているときは???だったけど、後で他の人に「なんで何も印刷されてなかったの?」と訊ねたら教えてくれた。)
もっとも古いベルギーで印刷された本。
1枚目のフォトの下側に写っているのと、下のフォトのものの2冊。
これも他の人に教えてもらったんだけど、興味深いのが1冊目。
おもしろーい。
ベルギーの最初の印刷屋さんはディルク・マルテンス、アロースト(ブリュッセルとゲントの間にある街)の人。
現在のベルギーに印刷技術を導入させたのはブルゴーニュ公爵豪胆公シャルル。
当時印刷が行われていた都市。
だれが印刷したか、記されている。
わからないことだらけだったけど、しっかり楽しみました。
子供時代だったら、ほとんど何もわからない1時間は耐えがたいものだったかもしれませんが、バーさんにとっての1時間なんてアッという間です。
終わってから、せっかく来たし、と、ミュージアムを楽しんだのである。
前回ちょっと記したブイヨン公ゴッドフロワを描いた版画があった。
16世紀のもの。
これも今だけ展示されてる、最も古い蘭語のバイブル。
13世紀のもの。
このイヴェントに参加する前に、王立美術館の世紀末セクションに、近いのでついでにちょいと寄ってきました。
うちを出る前に、今ブリュッセル市のミュージアムでやってるこの方 ↓ に関するエクスポジションを観に行こうとちょっと調べごとをしてたのだけど、
Philippe Schott, figure emblématique de l'art et de la culture à Bruxelles. En tant qu'artiste et collectionneur, il a créé son propre "Musée Schott" dans sa maison située rue du Chêne.
この方の師匠にあたるのが、アングルの弟子だったというアルフレッド・ステヴン。
そして、世紀末美術館の最初のフロアに、ステヴンのポートレートとその作品が数点置いてあることに初めて気づいた。
その時その時の気分や、何か一つ新しいことを知ったかによって、何回も足を運んだところだとしても新しい発見があるもので、今回もそうだったので嬉しくなりました。
しかしこれも、友の会会員はいつでもフリーパス、という気軽さあってのこと。
ありがたや。
前に記したガブリエル・モンタルドの夫、コンスタン・モンタルドの小さな作品。
これにも初めて気づいた。
この人の作品は、今まででっかい作品しか見ていなかったのです。
世紀末セクションは、グルグルと鑑賞しながら下のフロアに降りていき、最後の地下8階のフロアからエレベーターで出口のある地下3階まで上がっていくんだけど、そのエレベーター、めちゃくちゃ快適、いつも「え、もう着いたの?」と思っちゃう。
昨日9日土曜日は、モード・ミュージアム主催のファッション・ウォークというのに参加してきました。
スタイリストの案内でサブロン界隈を歩く、というもの。
私の好きだった服屋も靴屋も、コロナ騒ぎで閉店になったのが多く(オーナーさんがCovidを機会に閉めた、ってことだと思う。道楽でやってたような店だったから。)、ちょっと困ってたところ、プロに聞いて新しくお店を開拓しよう、と思ったのである。
バッグはもう何年も前から、革細工が趣味のすごく器用な友達に作ってもらってます。
お店に売ってるのは、どんなに気に入っても、「ここがこうなってたらもっといいのに…」と思うところがどこかあるもの、でも彼女に頼むと、ほんとに言ったとおり・頼んだとおりにやってくれる、当然ながら少しお高めだけど、バッグなんてもともと安くはないし、オーダーメードとなるとむちゃくちゃ高価になるでしょうから、これは絶対お得なんです。
靴もオーダーメードしてくれるところはあるけど、バッグを作ってくれる友人みたいなわけにはいかないでしょうしねえ…。
Covid以前は毎年こちらに遊びに来てくれてた大学時代同じ下宿だった仲良し(美大生だった)もめちゃくちゃ器用で、何でも自分で作っちゃうんだけど、最近は靴も手作りし始めてる。
そのうち彼女に注文しちゃおうかな。
というわけで、サブロン界隈のブチックを何軒も教えてもらったのである。
ベルギーのデザイナーによる店、ヴィンテージもの、エコロジーにこだわる店、眼鏡のフレームもオーダーメードできる店、などなど。
楽しかったです。
スタイリストの彼女から、これはあなたのためにデザインされたようなコートよ(そこまで言うか!笑)、NYのヴィンテージ・ショップに行けば1000ユーロはすると思う、と言われた春物のコートを、ヴィンテージショップで50ユーロでゲット。
乗せられやすい私は今から春がタノシミです。笑
自分だったら絶対見向きもしなかったような服や靴を、スタイリストさんから「似合う」なんて言われたら、そうかしら、なんて思っちゃいますよね。ははは。
うち、ベルギーのデザイナーさんによるブチックに、ものすごく気に入った冬のコートがあり、値段も安くはないとはいえ不可能ではない程度で、うううううっとなったけど、9月にイッセイの店でゼイタクしちゃいましたからね、これは泣く泣くグッと我慢…。
たまにはこういうツアーも楽しいものです。
さて、いつものようにSNS上で見かけたものなど貼ってオシマイ。
立体でこういうの見たの、初めてで驚いた。
ライアン・オニールが亡くなったんですね。
ペーパームーン、可愛くて好きだった。
Stanley Kubrick and Ryan O'Neal on the set of "Barry Lyndon", 1975.
数日前、トム・ウェイツのお誕生日だったらしい。
Jim Jarmusch and Tom Waits, 1985.