ここ数日のメモ。
21日水曜日
市庁舎の「兵士の間」で行われる「モードとアールヌーヴォー」というテーマの講演に招待してもらったので、聴きに行ってきた。
毎年恒例の冬のイヴェント、Plaisir d'hiver (音と光のショー、プロジェクトマッピング、アイススケート場、クリスマスマーケット、etc.)が昨日金曜日からスタートしたのだけど、この日はその準備・実験中だった。
でももう街のあちこちはイルミネーションで美しかったです。
手前左の暗いところは、まだライトアップされていないクリスマスツリー。
今年のモミの木はLierという街のプライヴェートな庭の木、その家の持ち主さん夫婦は、ヨセフさんとマリーさんという名前だったそう。
なんだかかわいい。
この日もきれいなギャラリー・サンチュベール。
ぶらさがっているフォトの男性は、王室御用達のデザイナー、ナタン氏。
講演会場。
私が座った席のすぐそばの天井と壁。1477年と記してあるけど、たぶんこの紋章(もう火縄銃が描かれてますね。たぶん街を守ったグループに関係あるファミリーかグループの紋章だと思う。文字がちゃんと読めればわかると思うが…)にかかわりのある年なんでしょうね。
描かれたのは、ベルギーの独立直後19世紀中ごろだと思う。
講演者は、モード&レース・ミュージアムの学芸員の女の子とオルタ・ミュージアムの学芸員の女の子、ふたり。
シャルル=フレデリック・ワースの登場によって、それまでのクチュールの在り方が変わった話からスタートしました。
現在にも連なるオートクチュールの祖とみなされる人。
それまでは作る側のクリエーションではなかったのを、彼が変えた。
でも、まだその頃の女性の服装は、その女性を連れた男性の経済力と言った力を示すお飾りだった。コルセットで締め付けてましたし。
そういう在り方を変えた代表的人物は、クリムトのパートナーだったエミリエ・フロゲ。
(何年か前に友だちとウィーンに遊びに行ったとき、この方のミュージアムに行ってきた。何故かあまり観たものの記憶がない…、残念。)
他にも建築家モーゼルやホフマンの妻もデザインしていたし、ラファエル前派の画家たちが描く女性たちの服も、モデル用にデザインされていた時代。
いっぽう、男性たちの服装はコスチュームが普通で、クリムトのようなゆったりした服装の人なんて例外的です。
聴き終わって市庁舎を出ると、クリスマスツリーがライトアップされていました。
昨日のニュースで冬のイヴェントのスタートを中継していましたが、ツリーはきれいな深い青でした。
22日水曜日
王立アカデミーで4回にわたって行われる講演の第1回目。
この4回のテーマは「芸術史の新しいパースペクティヴ」
自分で書くのがめんどくさいので、もらってる案内をコピペ。
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↑ の案内を見てもわかるように、これまで男性アーティストにのみ注目していた芸術史の中で、忘れられ失われてきた女性たちに焦点を当てているわけだけど、それだけでなく、別々に研究している機関が一緒に今回の講演を作り上げるところにも大きな意味がある。
講演者は皆若い女性です。
水曜日は1900年前後に自らクリエーションを行った女性たちを紹介しました。
有名な画家や建築家たちの周りにいた女性たち、独学で様々な創作活動をしている。
私個人は、コンスタン・モンタルドの妻であるガブリエル・モンタルドに興味を持ったので(エミール・ヴェルハーレンとものすごく仲良しだった)、後でちゃんと調べようと思った。けどまだ調べてない。笑
この日はさらに、聖カトリーヌ広場に新しくオープンした現代アートのギャレリーで始まるエクスポジションのヴェルニサージュに招待されていて、現代アートはともかく、新しいギャレリーというのに興味があったんで、講演の後で行くつもりでした。
王立アカデミーのところのバス停で、そっち方面に行くバスを寒い中10分待った。
そしたら2台続けてやってきたのである。
前にいたバスが満員だったんで後ろのに乗ろうとしたら、運転手さんにはちびころばーちゃんが目に入らなかった様子で、停まってくれなかった!!!
次のバスまでさらに10分待たないといけない…、ああいやだなあ、と思っていたら、目の前、反対側に向かうバス停に、うちに帰るのに使うバスがやってきたんで、もうやーめた、神さまがもう帰りなさいと言ってるんだ、と、道を渡ってそっちに乗り込み帰宅。
コンテンポラリー・アートじゃなければもうちょっと気力が生まれたのかもしれない...。
23日木曜日
↑ のシリーズの二日目。
「家庭」を描いた絵画を観ることで、この時代に女性たちが求められていたことがわかる、そういう話。
家庭を描いた絵画に登場するのは女・子ども。父親は不在です。
当時の「家庭マニュアル」には、仕事を終えた男たちがおいしい食事をとり、妻の微笑みを見て、また仕事をするためのエネルギーを得る、みたいなことが記されてる。
(女性もだけど、まあ、男性もお気の毒…と思った。)
もう一人の講演者は音楽学者、以前ULBの音楽史の講義でも話を聴いたフォーヴさん(フォーヴという名前がすごくかっこいいと思ったので覚えていた)による当時のコンセルヴァトワール(音楽院)での女性たちの話。
コンセルヴェール(保守する)ところだからコンセルヴァトワールと呼ばれる、という、あまりにも言葉のまんますぎて考えてもいなかった事実に、目から鱗でありました。
24日金曜日
早朝、年に1回の血液検査。
いつも1年前には予約を入れておく医者とのアポに合わせて予約する、血液検査・マンモ・エコグラフィー。
仕事をいくつも断らくてもよいように(なにせ働いてなんぼのフリーランスなので)、こういった検査は歯医者も込みで1日で済むようにしていたんですが、今は「仕事の方を断ればいい」と思うようになってるんで、1日にひと検査。
昼は毎月1回、友人とのランチ。
いつもにも増しておいしかった。
スターターは、バターにハチミツのトーストのうえに、ヤギのチーズのロースト、アボカド、スモークサーモンをのっけたもの。
メインは鯛のフィレ。でっかい。
上に乗っかっているのはフヌイユのラぺ。
今回もお腹いっぱいになり、夜まで一切お腹空かず。
ランチの後は、仕事で下見をする必要のあったスカールベーク区にある市場を訪ねました。
フォトはなし。
しばらく前に「もう今年の仕事はオシマイ」と書いたけど、結局12月にカンタンな仕事を二つこなすことになったので、そのうちの一つのため。
今日は特に何も予定がないので、このブログを書き終えたら、オンラインで済ませられるアドミニストレーション上のいくつかを済ませる予定です。
さて、最近ものすごく話題になってるのが、リドリー・スコットの「ナポレオン」。
なんでもこうやって映画に取り上げられる歴史上の人、第1位がイエスさま、第2位がアレクサンダー大王、そして第3位がナポレオンだそうで、全部で700本以上あるらしい。
一番有名なのはアベル・ガンスの作品でしょうかね。
私はこれは、ちゃんと3つのスクリーンを使い、生のオーケストラ(指揮者がカーマイン・コッポラだった)が入るやつを、まだニッポンにいる頃福岡で鑑賞しました。
ちょっと自慢かも。笑
今回の作品、歴史上の事実とあまりにも違ってるんで、ナポレオンに詳しい仏語文化圏の人にはあまり評価されていない。
実際いろんな批判を見かけます。
こういう風に、アングロサクソンvsフランスの文化的視点にはいろいろ違いがあっておもしろい。
昨日ベルギーの首相とスペインの首相がイスラエルを訪ねたんですが、彼らの発言がイスラエル政府の気に入らなかった、という話。
投票日の前から大きな話題になってましたが、オランダもタイヘンです。
ベルギー国内のアンチ・セミティズムの動きも話題ですが、シャルルロワの近くのユダヤ人墓地がひどく荒らされた。
もともと墓地で使われる銅を盗む者たちがいたらしいんだけど、今回はそれどころじゃない被害。
今日は「いいな」と思ったこのイメージでオシマイにする。
Helen Schjerfbeck
School Girl II (Girl in Black)
1908
PS
うわーーーん、今年の文化遺産の日、モンタルド夫妻の家をガイドの案内付きで訪ねることもできたと、今初めて知った。
モノを知らないと、こうやってあまりないチャンスを逃すのよねえ…。
悲しい。